1 多額の節税方法の現状

節税については、医療費控除といった比較的少額のものから数億円規模のものまでありますが、今回は、法人や個人の所得が例年以上に多く出たことからその所得を1千万円~数億円圧縮できないだろうか、あるいは、相続税について現状では数千万円以上から数億円の税金がかかることから何とか対策がとれないだろうかといったケースにフォーカスして述べたいと思います。

法人の所得を圧縮する方法としては法人保険がかなり利用されていました。しかし、最近、国税庁の取り扱いが変更になったこともあり、節税効果が薄くなってしまいました。
これ以外の法人の節税方法としては、賃借物件の賃料や経営セーフティ共済の掛け金について、決算期末から1年以内のものを一括して前払いする方法等もありますが、この方法は1回使うと節税効果がなくなってしまい、また、数千万円以上の所得を圧縮する方法としては選択が難しい場合も多いと思われます。

また、相続税の節税方法としては、賃貸マンションを購入したり、タワーマンションを購入したりといったことが行われていたりしますが、賃貸物件の立地があまりよくない場合、競争力の低下から空き家になるリスクが多くありますし、また、最近、タワーマンションを購入する節税方法については税務署から否認された事例が報道されるなど、節税が否認されるリスクも高くなっています。

2 理論上は税金がゼロになることもあるが・・・

(1) 組織再編成による法人税・源泉所得税の節税について

筆者は、国税局、税務署、国税不服審判所等に勤務したことがあることもあり、他の税理士から、節税スキームを税理士自身で作成・検討したところ、法人の組織再編成により法人税や源泉所得税がゼロになるのだが、自分の考えに間違いは無いか等相談を求められることがあります。
このような場合、示されたスキームをよく検討し、考え方に間違えがない場合、理論上は正しいが、組織再編成の場合、法人税法の中に、これを容認した場合には税負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより税額等を計算できる旨の規定があるので、なぜそのようなことをしたのかを合理的に説明できないと否認される可能性がある旨回答しています。
このような税務署長の認めるところにより税額等を計算できる旨の規定は、所得税法、相続税法にもあります。
このケースでは、逆に言えば、なぜそのような行為をしたのかを税務当局に合理的に説明できて、税務当局が十分に納得するかどうかは別として、まあいいだろうも含めて、その行為が否認されなければ、その税の軽減を伴う行為が事実上認められる、つまり節税が可能ということになります。

(2) 太陽光発電設備への投資による法人税・所得税の節税について

例えば、法人の太陽光発電設備への投資についてですが、東日本大震災後の一時期、一定規模の太陽光発電設備への投資については即時に償却できる制度がありました。現在、この法律条項は無くなりましたが、現在でもよく調べると別の特別な法律により、太陽光発電設備でも一定の条件を満たした場合、即時に償却することが可能となっています。

(3) タワーマンション購入による相続税の節税について

相続税に関して、最近、タワーマンションを使った節税が税務当局から否認されたという報道がありますが、これについて内容をよく見ると、高齢な被相続人が相続発生の直前にタワーマンションを購入し、相続税の申告が終わって間もなく相続人がそのタワーマンションを売却しているケースだったりします。このような場合には、税務署から相続税の節税が主な目的でタワーマンションを購入しましたねと認定されてしまうことがあるということです。
税務当局もタワーマンションの購入について、絶対に相続税の申告を否認している訳ではないように見られますので、タワーマンションを購入することにより相続税の節税を考えていらっしゃる方は、税務署に対して、相続税の節税が主目的でタワーマンションを購入したのではないと合理的に説明できるか検討することをお勧めいたします。

3 節税方法の具体例

多額の節税がしたいと考えているあなたに、現在考えられる節税の例を納税者の区分別にご紹介したいと思います。

(1) 個人の所得税の節税方法の例

個人で、例えば、仮想通貨などで大きな利益が出た場合の節税方法としては、①特定の太陽光発電設備への事業投資、②コインランドリーへの事業投資などが考えられます。
太陽光発電設備への事業投資ですが、一定の期限までに国内の特定の場所に太陽光発電設備を設置して事業を行う場合、その設備について、即時に一括して減価償却することができます。
また、コインランドリーへの投資については、初期に設備投資についての減価償却費等の費用を計上して他の利益と相殺し、その後、コインランドリー事業から継続的に収入を得ていくことになります。

(2) 相続税の節税方法の例

相続税の節税方法としては、タワーマンションが話題となっていましたが、先に述べたように、最近では税務当局から否認されたことが報道されています。

相続税の節税方法としては、相続税対策だけでなく財産分割対策にもなる、不動産小口信託受益権の購入という方法もあります。
これは、個人ではなかなか購入が難しい都心の優良物件に小口に投資するもので、不動産の権利を分割して所有することになることから、財産を相続人に均質、均等に分けることができるメリットがあります。また、税務当局から否認を受けないように、税理士の助言を注意深く聞き、税務当局から相続税の軽減が目的で購入しましたねと言われないようにできれば、不動産の相続税の評価は金融資産の評価よりも相当低いので、相続税の軽減を図ることもできます。

(3) 法人の節税方法の例

① 所得圧縮額:1,000万円~数億円

法人が1,000万円~数億円の所得を圧縮する方法としては、日本型オペレーティングリース(※)への事業投資や特定の太陽光発電設備への事業投資等が考えられます。
日本型オペレーティングリースの具体例としては、航空機、船舶、コンテナボックスへの事業投資などがあります。
また、太陽光発電設備への事業投資については、一定の期限までに国内の特定の場所に太陽光発電設備を設置して事業を行う場合、その太陽光発電設備について、即時に一括して減価償却することができます。
※日本型オペレーティングリースを簡単にご説明いたしますと、契約を通じて飛行機等のリース事業に出資し、リース期間中の事業の損益を法人自身の損益に取り込むことにより、税の繰り延べ及びリース物件の売却益を目指すものです。

② 所得圧縮額:3,000万円前後

法人が3,000万円前後の所得を圧縮する方法としては、個人の所得税のところでもご紹介いたしましたが、コインランドリーへの投資も考えられます。

③ 保険:支出額の40%~50%が損金

法人保険の節税効果は、最近の国税庁の取り扱いの変更に伴い薄くなっていることを前に述べましたが、現在でも、法人で定期保険や養老保険に一定の要件を満たして加入した場合、支出額の40%~50%を支出時の損金にすることができます。
法人の場合、顧問税理士がいらっしゃると思いますので、興味のある方は顧問の税理士にご相談されてみてはと思います。

(4) 事業承継の節税方法の例

法人の節税方法でご紹介した日本型オペレーティングリースや法人保険を活用することにより、事業承継の際に重要となる株式の評価を下げる効果も期待できます。また、これら以外にも様々な株式対策がありますので、興味のある方は顧問の税理士にご相談することを検討してみてはと思います。

4 節税のポイント

以上、多額の節税方法の現状と節税方法ご紹介してまいりましたが、節税のポイントとしては、
税理士の助言と注意事項を注意深く聞き、税務当局から税の軽減が目的で投資や購入をしましたねと言われないようにすることです。税務当局から否認されることがなければ、大きな税の軽減を図ることができます。
今回、簡単にご紹介した節税方法の詳細については、真に税金、事業承継、遺産分割等で頭を悩ましている方にご提供したいと存じますので、関心のある方は下のフォームからご連絡をお願いいたします。

執筆者

当記事の執筆者:一般社団法人FPマネースクール 主任研究員、税理士 吉田茂彦
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    投稿者プロフィール

    吉田茂彦
    吉田茂彦主任研究員 (税理士、CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
    ・金融資産運用歴40年超
    ・国税庁、国税局、国税不服審判所等に勤務後税理士登録。
    ・著書
     「平成3年版 税務相談事例集」
     「平成14年版 法人税決算と申告の実務」
     「平成15年版 図解法人税」
     「平成15年版 減価償却質疑応答集」(以上、大蔵財務協会、共著)
    ・担当
     記事の記載と他の記事の監修
     金融資産運用講座