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これまでの相続税対策の問題点と不動産信託受益権とは?

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〇 はじめに
 当記事は、相続税対策になり、年2%前後の利益が見込める不動産信託受益権についてご説明しています。
 前半は相続税対策の現状と問題点についてご説明していますので、相続税対策等に関心のない方は、
ここをクリック・タップして「3 年約2%の所得。不動産信託受益権とは?」からご覧ください。
 

1 富裕層等の資産運用相続税対策現状

 資産運用をしつつ相続税対策にもなる方法としては、一般的に、借入金によりアパートを建設又は借入金により不動産を購入して賃貸する方法等が行われています。
 土地を保有されている資産家の方も金融資産を保有されている富裕層等も、この方法を実行されているか検討されていると考えられます。

2 借入金で不動産購入の問題点

(1) 借入金で不動産購入の相続税評価の問題

 借入金によりアパートを建設して賃貸する方法は、土地はあるけれども金融資産の保有は少ない方については検討に値すると考えられます。
 しかし、借入金でマンション等を購入する場合も保有している金融資産でマンション等を購入する場合も、次の簡単な例でご説明するとおり、相続税評価額は同じ結果になります。
(簡単な例1)保有金融資産1億円で相続税評価額3千万円のマンションを購入した場合。相続税評価額は、マンションの3千万円。
(簡単な例2)保有金融資産1億円は使わず、借入金1億円で相続税評価額3千万円のマンションを購入した場合。(単純化のため全額借入金で購入としています。)
       相続税評価額は、資産(金融資産1億円+マンション3千万円)-負債(借入金1億円)=3千万円。

 このため、金融資産をある程度保有されている富裕層等が、借入金でマンション等を購入することは、相続税対策の面で見ると良い選択と言えるか疑問があります。

(2) 借入金で不動産購入の諸費用の問題

 借入金によりマンション等を購入する場合、
 ① 金融機関に支払う融資事務手数料(例1:数万円、例2融資額の数%)
 ② 保証会社に支払う保証料(例:1千万円当たり数十万円)
 ③ 抵当権の設定登記費用(例:債権額(融資額)×0.4%、司法書士への登記手数料)
 ④ 金銭消費貸借契約書に貼る印紙代(例:5千万円超1億円以下は6万円)
 が掛かり、これら諸費用の合計金額は、金融機関にもよりますが、数百万円になると考えられます。

 このため、金融資産をある程度保有されている富裕層等が、借入金でマンション等を購入することは、資産運用の面で見ても良い選択と言えるか疑問があります。

(3) 借入金で不動産購入の相続税申告否認の問題

 借入金によりマンションを購入する相続税の節税方法は、税務署から否認された事例が複数報道されております。
 また、令和4年4月19日、最高裁判所は、借入金と自己資金により不動産を購入後相続が発生し、一般的に認められている評価方法により評価して行った相続税申告について税務署が否認したことについて、税務署の処分を認める判決を行っております。
 この事例をもう少し詳述いたしますと、10億5千万円超の借入金と自己資金により2棟の不動産を購入し、1棟目の購入から約3年5か月後、2棟目の購入から約2年6か月後に相続が発生しています。また、購入した不動産のうち2棟目に購入した不動産については相続発生から約9か月後に売却しています。
 

3 年約2%の所得。不動産信託受益権とは?

(1) 不動産信託受益権の購入(仕組み)

 土地の有効活用(併せて相続税対策)としては、融資を受けて賃貸用不動産を建設等する方法も有効と考えられますが、金融資産の有効活用(併せて相続税対策)の方法としては、不動産信託受益権の購入という方法が有効と考えられます。
 この不動産信託受益権の仕組みについて簡単にご説明いたしますと、信託銀行に信託された一棟又は複数区画の優良な賃貸マンション等から発生する賃料等の利益を受け取ることができる権利を購入するものです。
 この不動産信託受益権は、一般の人や会社が購入し易いように1千万円程度から販売されており、このように小口化された受益権は不動産小口信託受益権と呼ばれることもあります。

(2) 不動産信託受益権の購入があまり知られていない理由

 この不動産信託受益権の購入については、次に述べる理由から一般的にあまり知られていない、馴染みがないのではと考えられます。
 ① ローンで購入できないことから金融機関が紹介しない
 ② 都心の優良賃貸物件の建設は、一般的に大手建設会社が請け負っていることから、街の中小建設業者が建設を勧誘しない
 ③ この受益権を購入した人は、様々なリスクを考慮して買ったことをあまり他者に話さない

 しかし、この不動産信託受益権の購入については、
 ① 資金を活用したい
 ② リスクはあまりとりたくない
 ③ できれば相続税対策もしたい
 とお考えの方々に適していると考えられますので、次にメリットについてご説明いたします。

(3) 不動産信託受益権の購入のメリット

 ① 賃借人の募集等の不動産管理業務は専門業者が行い、年率約2%の不動産所得が得られる。
 ② 1区画を購入して賃貸する場合と比較すると複数の区画を共有するのと同様なことから空室リスクが少ない
 ③ 購入時の費用が安い。(例:印紙代200円、確定日付取得費700円の合計900円)
 ④ 不動産の相続税の評価は金融資産の評価よりも相当低いので相続税の軽減を図ることができる。(相続税評価ベースで8割から9割減少。)
 ⑤ 信託の期間が10年程度と比較的長期間であり、借入もしないことから税務署からの否認リスクが少ない
 ⑥ 都心の優良な賃貸建物の複数の区画を複数の相続人に均質、均等に分けることができる。

4 最後に

 以上、相続税対策の現状と問題点、不動産信託受益権の簡単な仕組みとそのメリット等についてご説明いたしました。
 不動産信託受益権は、資金の有効活用及び相続税対策として有効と考えられる一方、知っておきたい留意点もありますので、気になる方は下のフォームからご連絡をいただければと思います。

〇 執筆者紹介

吉田茂彦
吉田茂彦

・一般社団法人FPマネースクール 主任研究員(税理士、CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
・国税庁、国税局、国税不服審判所等に勤務後税理士登録。
・著書 「平成3年版 税務相談事例集」、「平成14年版 法人税決算と申告の実務」、「平成15年版 図解法人税」、「平成15年版 減価償却質疑応答集」(以上、大蔵財務協会、共著)

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