イ 金融市場

金融市場は大きく分けて短期金融市場と長期金融市場があります。

 短期金融市場短期金融市場

短期金融市場短期金融市場は、
満期までの期間が1年未満のものを扱う市場で、
次のような市場があります。 

・インターバンク市場

インターバンク市場は金融機関のみが参加できる市場です。
手形市場コール市場(相互に短期の貸し借り)があります。
金利は、無担保コール翌日物レート(今日借りて明日返す金利)
が適用されます。

オープン市場

オープン市場は、一般の企業が参加可能な市場です。
CD市場CD市場では、譲渡性預金が取引されます。
CP市場
CP市場では、事業法人などが発行した約束手形が取引されます。

2 長期金融市場

長期金融市場は、満期までの期間が1年以上のものを扱う市場で
代表的なものに証券市場(株式市場、債権市場など)があります。

ロ 金利の変動要因


(イ)金利の上昇要因

国内の金利の上昇要因となるものについて次にご紹介いたします。

①景気が回復しますとお金・資金の需要が増えます。
お金の需要が高まるということはお金を借りる人や借りるお金の金額が増えることを意味します。このことは、金利を高く払ってでもお金を借りたいという人が増えるといことを意味しますので
金利が上昇する要因になります。

②物価が上昇しますと、やはり、お金・資金需要が増えますので金利が上昇する要因になります。

③為替が円安になりますと、輸入品の物価が上昇しますのでお金・資金の需要が高まり、これまでに述べた理由により金利が上昇する要因になります。

④海外の金利が上昇しますと相対的に円が安くなる要因となります。円安になると③でご説明したとおり、輸入品の物価が上昇し、お金・資金の需要が高まりますので金利の上昇要因になります。

(ロ)金利の下降要因

次に、国内金利の下降要因国内の金利が下降する要因について
ご紹介いたします。

①景気が後退しますと、お金・資金の需要が減少します。
この場合には、先ほど述べた逆の理由で金利が下がる要因になります。
②物価が下落しますと、相対的に少ないお金・資金で物が買えますので、
お金・資金の需要が減少します。
このため金利が下がる要因になります。

③為替が円高になると、輸入品を安く入手することができます。
これは物価の下落要因となりますので、②で述べたとおりの理由で金利が下がる要因になります。

④海外の金利が下落しますと、
金利が下落した外貨を保有していても金利収入が減少してしまいますので
相対的に円を保有する動機が強まり円高傾向になる要因となります。
為替が円高になると③で述べたとおり輸入物価の下落要因となり、
物価が下落するとお金・資金の需要が減少しますので金利が下がる要因になります。

ハ 金融政策① 公開市場操作(オペレーション)


(イ)オペレーションの種類

公開市場操作(オペレーション)は、
日銀が行う長短金利の誘導や資産の買入れの方法のことであり、
売りオペレーションと買いオペレーションがあります。

(ロ)売りオペレーション

売りオペレーションは、
日銀が保有する債権等を金融機関に売却するもので、
日銀が売却代金を領収することに伴い、
市場で流通している資金の量が減少します。
市場で流通しているお金が減ることから、
金利が上昇する効果があるというものです。

(ハ)買いオペレーション

買いオペレーションは、
金融機関が保有している債権等を日銀が購入するもので、
金融機関に対して日銀が購入した代金が渡ることにより
市場で流通する資金の量が増大します。

最近では、日銀は、国債以外にも、
ETF(概要、株価指数などへの連動を目指す上場投資信託)や
J-REIT(概要、投資家から集めた資金で不動産を購入し
賃貸収入等を分配する法人の上場投資証券)等を購入しています。

このことにより、
市場で流通しているお金が増大することから
金利が低下する効果があるというものです。

ハ 金融政策② 預金準備操作


日銀が行う金融政策としては、
先に述べた公開市場操作(オペレーション)のほかに、
預金準備率操作というものがあります。

これは、預金者への支払の準備資金として
金融機関に預金されている預金残高の一定の割合について
無利子で日本銀行に預けることとされているものです。

この日本銀行に預ける割合を調節することにより、
市場に流通する資金量を調整し、
金利を調整しようとするものです。

預金準備率を引き上げると、
市場で流通する資金が減少しますので金利が上昇する効果が期待できます。

 また、預金準備率を引き下げると、
市場で流通する資金が増大しますので金利が低下する効果が期待できます。

ハ 金融政策③ マイナス金利


日銀は、2016年2月16 日から、
金融機関が日本銀行に預けている当座預金について3段階の階層構造に分割し、
それぞれの階層に応じて、
プラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用しています。

マイナス金利について簡単に説明すると、
法令で定められた金額を超えた預金
金融機関が預金者への払い出しに備えた準備として
法令で定められた金額を超えて日銀の当座預金に預金をしている場合、
その超過している部分については
日銀が金融機関に対して金利を支払わず、
逆に日銀が預金をしている金融機関から
金利を頂きますという政策です。

この政策により、金融機関は、
法令で定められた金額を超えて日銀に預金をしなくなり、
その結果、市場に流通する資金が増えるため
金利が低下することを期待した政策です。

ハ 金融政策④ 基準割引率及び基準貸付利率


日銀の金融政策に関連して
基準割引率及び基準貸付利率というものがあります。

これは、
日本銀行が金融機関に資金を直接貸す際の基準金利のことであり、
この金利によって金融機関の貸出金利に影響を与えようとするものです。

なお、これは、
平成18年にその前の公定歩合から名称が変更されたものです。