(7) 金融派生商品

金融派生商品

項目

金融派生商品の項目

イ デリバティブ取引とは
ロ 先物取引・先渡取引
ハ オプション取引の種類と損益
ニ 裁定・ヘッジ・スペキュレーション取引
ホ デリバティブ取引のメリットとリスク

イ デリバティブ取引とは

デリバティブ取引とは

デリバティブ取引とは、
金利、為替、株式、債券などの金融商品から派生した金融商品を取引するものです。
これには、先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引等があります。

なお、デリバティブとは、金融派生商品のことをいいます。

ロ 先物取引・先渡取引

先物取引・先渡取引

項目

項目

(イ) 先物取引
(ロ) 先渡取引

(イ) 先物取引

先物取引

先物取引とは、将来の予め定められた期日に、
取引の対象とした商品(原資産)を
現時点で決めた価格で、
売買する事を約束する取引で、
取引所が介在する取引所取引です。

先物取引には、
債券先物取引
株価指数等先物取引
有価証券等のオプション取引
金融先物取引
などがあります。

(ロ) 先渡取引

先渡取引

先物取引とは、フォワード(forward)とも呼ばれており、
買い手と売り手の個別交渉による相対取引(店頭取引)により、
契約した日に契約した資産を
あらかじめ決めた金額で
売買することを約束する取引のことです。

この先渡取引は、流動性が低く、また、
取引先の信用リスクがあります。

先渡取引は、原則として、満期日に現物で決済されますが、
差金決済の場合もあります。

ハ オプション取引の種類と損益

オプション取引の種類と損益

項目

項目

(イ) オプション取引の種類
(ロ) オプション取引の損益
・コールの場合
・プットの場合
(ハ) プレミアム(オプション料)の変動の特徴

(イ) オプション取引の種類①

オプション取引の種類

オプション取引とは、
将来の定められた日に、
特定の商品を契約した価格で売買する権利の取引をいいます。

ヨーロピアンタイプとアメリカンタイプがあり、
ヨーロピアンタイプとは、
権利行使が満期日に限定されているタイプのことです。

また、アメリカンタイプとは、
権利行使が満期日に限らずいつでもできるタイプのことです。

オプション取引には、
コール・オプション取引とプット・オプション取引の2種類があります。

コール・オプション取引は、買うことができる権利の売買です。

また、プット・オプション取引は、売ることができる権利の売買です。

(イ) オプション取引の種類② 買い手と売り手

オプション取引No.2

コール・オプション取引及びプット・オプション取引ともに
買い手と売り手がいます。

買い手は、コールもプットも権利の購入であって
権利を行使する義務は課されません。
有利なら権利を行使し、不利なら自動的に権利が放棄されます。

売り手は、オプション料として収入を得ることができるメリットがあります。
但し、買い手の権利行使に対して
どんなに不利でも応じる義務があります。
売り手は、損失が無限大になることから十分に注意する必要があります。

(ロ) オプション取引の損益① コールの場合①

オプション取引の損益

コール・オプション取引の買い手と売り手の違いについてご説明いたします。

1 コールの買い手とは、
  買う権利の保有者なので、満期日に買う価格より値上がりしていれば有利となる者です。

・満期日に値上がりしている場合、
 買う権利を行使することにより、値上がり分に対応する利益を受け取れます。

・満期日に値下がりしている場合、
 買う権利を行使して買っても値下がりした分の差額が損失となることから権利を放棄します。

(ロ) オプション取引の損益② コールの場合②

オプション取引の損益No.2

コール・オプション取引の買い手と売り手の違いについてですが、
 コールの売り手とは、
  取引時にオプション料を受け取れる一方で、
  買い手に対して差金を支払う義務を負う者です。

・満期日に値上がりしている場合、
 買う権利の保有者は権利を行使することから上限なく差金を支払う義務があります

・満期日に値下がりしている場合、
 買う権利の保有者は権利を放棄することから、
 何も対応することはなくなります。

(ロ) オプション取引の損益③ プットの場合①

オプション取引の損益 プットの場合

プット・オプション取引の買い手と売り手の違いについてご説明いたします。

1 プットの買い手とは、売る権利の保有者なので
  満期日に売る価格より値下がりしていれば有利な者です。

・満期日に値上がりしている場合
 売る権利を行使して売っても値上がりした分との差額が損失となるので権利放棄します。

・満期日に値下がりしている場合
 売る権利を行使して値下がり分に対応する利益を受け取れます。

(ロ) オプション取引の損益④ プットの場合②

オプション取引の損益 プットの場合No.2

プット・オプション取引の買い手と売り手の違いについてですが、

2 プットの売り手とは、
  取引時にオプション料を受け取れる一方で、
  買い手に対して無限に差金を支払う義務を負う者です。

・満期日に値上がりしている場合
 売る権利の保有者は権利を放棄するので何も対応することはなくなります。

・満期日に値下がりしている場合
 売る権利の保有者は権利を行使することから、
 上限なく差金を支払う義務があります

(ハ)プレミアム(オプション料)の変動の特徴

プレミアム(オプション料)の変動の特徴

プレミアム(オプション料)の上昇と下落の特徴(要因)についてご説明いたします。

・原資産価格が上昇するほど、コールプレミアムは上昇し、プットプレミアムは下落します。

・満期までの残存期間が長いほど、コールプレミアムは上昇し、プットプレミアム上昇します。

・ボラティリティ(価格変動)が大きいほど、コールプレミアムは上昇し、
 プットプレミアムは上昇します。

・原資産の時価からみて、権利行使価格が高いほど、コールプレミアムは下落し、
 プットプレミアムは上昇します。

・短期金利が上昇するほど、コールプレミアムは上昇し、プットプレミアムは下落します。

ニ 裁定・ヘッジ・スペキュレーション取引

裁定・ヘッジ・スペキュレーション取引
項目

(イ) 裁定取引
(ロ) ヘッジ取引
(ハ) スペキュレーション取引

項目

(イ) 裁定取引

裁定取引

裁定取引とは、
同じ価値を持つ商品について、一時的な価格差を利用した取引のことをいいます。

理論価格よりも高くなっている割高な先物を売却すると同時に、
現物を購入することを裁定買いといいます。

理論価格よりも低くなっている割安な先物を購入すると同時に、
現物を売却することを裁定売りといいます。

・利益を確定するために反対売買を行うことを裁定解消といいます。

・裁定解消の際に行われる現物の売りのことを裁定解消売りといいます。

・裁定取引は、株価指数等の現物価格と先物価格を利用した取引のほか、
 為替、金利、商品(コモディティ)などさまざまな市場で行われています。

(ロ) ヘッジ取引

ヘッジ取引

ヘッジ取引とは、
現物市場と反対の取引を先物市場で行い、
現物市場で発生する価格変動リスクを
先物市場で発生する損益で相殺することにより回避する取引のことです。

例えば、現物株を保有している者が
今後の株価が下落すると予想する場合において
現物株を売却せずに先物を売り建てることにより
現物株に発生する評価損を先物から発生する利益で
相殺する取引などがあります。

(ハ) スペキュレーション取引

スペキュレーション取引

スペキュレーション取引とは、
積極的なキャピタルゲインの取得を目的とした取引で、
短期間の価格変動で生じる差益を狙って行う取引のことをいいます。

スペキュレーション取引は、
為替、株式、コモディティ、先物、オプション等の市場で行われています。

スペキュレーション取引は、
ハイリスク・ハイリターンな取引のため、
投機取引とも言われています。

スペキュレーション取引をおこなう投資家をスペキュレーターといいます。

ホ デリバティブ取引のメリットとリスク

デリバティブ取引のメリットとリスク
デリバティブ取引のメリットとリスク

 デリバティブ取引のメリットとリスク

デリバティブ取引のメリット

1 リスクヘッジ
  ヘッジ取引で説明したとおり、現物株式の下落リスクに対して、
  先物を売ることによりリスクを回避できます。

2 流動性の向上
  ヘッジ取引で説明したとおり、現物取引のほかに、裁定取引などが加わっています。

デリバティブ取引のデメリット

1 相場の変動幅が拡大します。
  相場が急騰、急落させる要因になっているといわれています。

2 透明性が困難
  取引内容が専門的であり一般投資家にとって難解なため、透明性の確保が困難と言えます。