(準)富裕層のための相続税節税対策

1 相続税の節税の現状と問題点

 相続税の節税方法としては、一般的に、ローンを組んで賃貸マンションやタワーマンションを購入する方法や生命保険への加入等が行われています。
 ただ、賃貸マンションを購入する節税方法については、物件の立地があまりよくない場合や築年数が経過した場合には競争力が低下することにより空き家になり、借金が返せなくなるリスクがあります。
 また、タワーマンションを購入する節税方法については税務署から否認された事例が複数報道されています。

2 (準)富裕層のための相続税節税対策の具体例

(1) 不動産信託受益権の購入

 相続税の節税方法としては、既に述べたとおり、融資を受けて不動産を購入する方法や生命保険への加入等が一般的ですが、金融資産を保有されている方には、別の方法もありますのでご紹介したいと思います。
 その方法とは、不動産信託受益権の購入という方法です。
 この不動産信託受益権の購入は、個人ではなかなか購入が難しい都心の優良賃貸物件について投資するものです。
 もう少し詳しく、かつ、やさしく述べると、一棟又は複数区画の優良な賃貸マンション等を信託銀行に信託し、不動産から発生する賃料等の利益を受け取ることができる権利を購入するものです。
 この不動産信託受益権は、一般の人や会社が購入し易いように1千万円程度から販売されており、小口化された受益権は不動産小口信託受益権と呼ばれることもあります。
 不動産信託受益権の購入については、次に述べる理由から一般的にあまり知られていません。

 ① ローンで購入できないことから金融機関が紹介しない。
 ② タワーマンション等の都心の優良賃貸物件の建設については、一般的に大手建設会社が請け負っていることから、街の建設業者が地主等に対して建物の建設を勧誘しない。
 ③ 一般的に、購入した人は、自分への様々なリスクを考慮して、節税になるものを購入したことを他人に言わない。

 しかし、この不動産信託受益権の購入については、①資金を運用したい、②借金はしたくない、③相続税の対策をしたい等とお考えの方々に向いていると考えます。
 そこで、次にメリットとデメリットについて述べます。

(2) 不動産信託受益権の購入のメリット

 ① 都心の優良な賃貸建物の複数の区画を複数の相続人に均質、均等に分けることができる。
 ② 1区画を購入して賃貸する場合と比較すると複数の区画を共有するのと同様なことから空室リスクが少ない
 ③ 賃借人の募集等の不動産管理業務は専門業者が行い、年率約2%の不動産所得が得られる。
 ④ 不動産の相続税の評価は金融資産の評価よりも相当低いので相続税の軽減を図ることができる。(相続税評価ベースで8割から9割減少。)
 ⑤ 信託の期間が10年程度と比較的長期間となっていることから税務署からの否認リスクが少ない

(3) 不動産信託受益権の購入のデメリット

 ① ローンで購入できない
 ② 信託の期間が、原則、10年程度と比較的長期間となっており、この間、原則、解約できない。
   (5年を経過し売却して利益が出る場合、合意の上、売却して終了する場合もある。)

(4) まとめ

 以上、不動産(小口)信託受益権の購入のメリットとデメリットについてご説明いたしました。
 不動産(小口)信託受益権の購入は、①比較的低リスクで資金の運用ができること、②相続税評価が大幅に減少するものの税務署からの否認リスクが比較的少ないと考えられること等から、現に金融資産を保有されている方に向いていると考えられます。
 なお、更に詳しい情報は、真に税金、遺産分割等で頭を悩ませている方にご提供したいと存じますので、関心のある方は下のフォームからご連絡をお願いいたします。

〇 執筆者紹介

吉田茂彦
吉田茂彦

・一般社団法人FPマネースクール 主任研究員(税理士、CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
・国税庁、国税局、国税不服審判所等に勤務後税理士登録。
・著書 「平成3年版 税務相談事例集」、「平成14年版 法人税決算と申告の実務」、
「平成15年版 図解法人税」、「平成15年版 減価償却質疑応答集」(以上、大蔵財務協会、共著)

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